言語聴覚士の就職先はどこになるのか、詳しく見ていきましょう。幅広い領域で活躍できる職種です。
主な就職先として挙げられるのが、病院や診療所といった医療機関です。日本言語聴覚士協会に所属している言語聴覚士の約7割が医療機関に勤めています。重病患者を担当する急性期病院や、主にリハビリを担当する病院など、病院と一口にいっても内容は様々です。診療科としては、リハビリ科や形成外科に配属されることが多いでしょう。また、コミュニケーションの問題を抱えている子どもの対応をするために、小児科に配属されるケースもあります。リハビリのアプローチ方法は病院ごとに異なるので、就職する際は細かい部分まで確認しておきましょう。
医療機関に次いで多い就職先が、介護老人保健施設などの高齢者施設です。割合でいうと、約2割の言語聴覚士が高齢者施設で働いています。日本は高齢化が進んでおり、認知症の患者や在宅介護が必要な患者が年々増えています。高齢者は嚥下機能が弱まっており、話す・食べるといった動作が困難な状態です。難聴などで日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。そこで必要とされるのが言語聴覚士です。高齢者に対して施設や在宅でのリハビリを支援します。地域医療・介護における重要な役割を担う言語聴覚士は、これからさらに需要が伸びていくでしょう。
全体の1割に満たない程度ですが、小中学校などの教育機関も就職先の候補になります。障がい児向けの放課後デイサービスや、発達障害のある子どもを対象とした児童発達支援施設が普及してきたため、そこで働く言語聴覚士の需要も伸びています。成人に限らず、小児分野に関わりたい人はこれらの就職先も含めて求人を探しましょう。また、キャリアを積んだ後に言語聴覚士の養成学校で教師として働くケースもあります。
言語聴覚士の就職先は医療機関だけではありません。少数ではありますが、補聴器などを製造するメーカーで営業職やマーケティングに携わっている人もいます。専門的な知識を有した人材を募集するために、言語聴覚士の資格保有者であることが募集要項に含まれているケースも少なくありません。多くの人が普段何気なく行っている、話す・聞くといった動作を支援する医療機器を扱うため、患者が感じている悩みを想像し、寄り添える人材が求められます。言語聴覚士であれば、疾患やリハビリの知識をマーケティングに活かすことができます。
言語聴覚士の国家資格を取得するためには、まずは指定の学校に通い受験資格を得る必要があります。資格を取得するまでのルートはいくつか用意されているので、自分に合った方法を選んでください。なお、通信教育のみでは取得できません。
訓練・指導の内容について、対応する障害ごとに紹介します。例えば、食べ物を噛む・飲み込む動作に問題が生じる嚥下障害に対しては、食事機能の維持や回復に向けた訓練を行います。病院で働く場合、この嚥下障害に対応することが多くなります。
言語聴覚士とはどのような仕事か、大まかな概要やこれまでの簡単な歴史を紹介します。言語聴覚士が実施するリハビリは様々な専門職と連携して行います。需要は年々伸びており、有資格者の数は現在までで4万人近くに増えています。